世界に誇れる建築
前回の話にちょっとつづきますが、
奈良の東大寺
そのスケールと技術は、まさに現代でも日本が世界に誇れる建築です
話は少し変わり
昨年、中国での老人施設の設計案件で上海出張の際、市街の中で黄金に輝く『西安寺(せいあんじ)』を見学しました
由緒あるお寺で、建て替えてはいるものの、その歴史はざっと1800年とのことです
さすが中国です
◇中国上海 静安寺
この建物を見学した際、スケールは違いますが、「東大寺っぽいな」と感じたのを思い出しました
大仏殿の空間、天井の架構、軒下の扇垂木・・・などなど
◇大仏殿 内観……東大寺よりは小さいですが
◇天井の架構……天井も似ています
◇軒下の扇垂木:中心から放射状に伸びて屋根を支える垂木
平行に並ぶ和様以前の伝来の工法
でも、似ているのは当然なのかもしれません
現在の東大寺は建て替えられておりますが、建立時は宋から技術を得たのですからね
海外から様々に技術を受け、独自に変遷させて、多様な日本的寺社建築が出てきたのです
さて、さらに話は変わり、
先月、東京オリンピックに向けて建設中の新国立競技場を、近くで見る機会がありました
あれほど着工前に「間に合うか!」と騒がれておりましたが、工事風景はなんとなく大丈夫そうに見受けます
◇新国立競技場(隈研吾氏) 2018.12撮影
ここで、ふと思いました
ザハハディド氏の計画案だったら、この眺めはどんなだっただろうと
もちろん賛否がありましたが、その是非はここではふれません
ただ、当時ザハ案への批判は、
「技術的に難しい」「コストが高い」「景観がそぐわない」などなど
さらにザハ氏は、自らの案が白紙撤回されて半年ほどで突然お亡くなりになりました
◇ザハハディド案:新国立競技場コンペ最優秀賞
デザインの奇抜さから世界で「アンビルド(建たず)の女王」と言われたザハ氏の遺作が日本の技術で建設できていたら
あの曲線がここに出現していたらと思ってしまいました
東大寺創建時も、これまでない技術で挑むうえでは、様々な葛藤や難関があったことでしょう
壮大なチャレンジが実行しづらい現代の時勢も当然ありますが、残念ながら昨今、東大寺の様に100年単位で語られ、維持される建築が出来にくくなっている事を感じております
たらればですが
もしザハ案が完成していたら、
東大寺とまではいかなくても、のちに世界へ胸をはり語れる建物としては十分だったのではないかと、ちょっと思うのでした
Y.K
奈良へ行こう!
昨年4月に高田馬場に越して初めての新年、
そして最後の平成としての年になります。
平成31年、本年もよろしくお願いいたします。
年末に奈良の東大寺、大仏殿を中学の修学旅行以来、
約30年ぶりに訪ねてまいりました。
歩みを進める事に大きくなる大仏殿、とにかく大きい。
創建は奈良時代、現存するのは3代目、江戸時代に再建されて
大きさは間口は57.5m、奥行き50.5m、高さ49.1m。
いわずと知れた世界最大の木造建築
創建時は間口86.1m、奥行きと高さはさほど変わらずとも1.5倍の大きさ。
当時の建物の大きさが想像できません。
この写真に見える右奥の塔は東大寺の東塔7重塔です。現存はしませんが高さ70mとも100mとも伝わっているようですが正確な高さは不明です。
縦方向の柱、横方向の梁と貫が幾重にも交差する様子はとても美しいです。
外観からは2階建てのように見えますが中から見ると1階建てなのがわかります。
この大空間を支えている柱ですが
直径約100cmから120cm、60本ほどあります。
創建時は1本物、再建時は木材資源が枯渇したため独特の技術で柱が作られています。
芯柱を数本継いで、廻りに扇型の板を張り帯状の鋼で周囲を固定し
釘を打ちつけて補強してます。今で言う集成材ですね。
大仏殿の一角に急な勾配の階段がありました。
こちらの階段は屋根裏へと続く階段でその先には巨大な梁、大虹梁と明治時代に設置された鉄製のトラス梁があるようです。
明治時代にイギリスから輸入、大仏殿を支える大虹梁の補強のための鉄骨トラス梁です。当然一般公開はされておりませんがテレビでは放送された事があるようです。
登ってみたいですねこの階段、降りる時はとても怖そうですが大虹梁を見てみたい。
今回、東大寺大仏殿を見学、参拝しようとして奈良に行ったわけでは無かったのですがとても奥が深いと感じました。
中学生の時は修学旅行だから、今回は通り掛けにふらっと寄り道でしたが、
次回もう一度じっくりと訪ねてみたいと思います。
T.U
遅ればせながら‥移転のご報告をさせてください
遅ればせながら‥
当社、ラカンデザイン研究所は2018年4月に移転することが出来ました!
ひとえに皆様のお力添えあってのここと、改めて心より感謝申し上げます。
今回は、その新しいオフィスについて少しご紹介をさせていただきたいと思います。
当社は、程よくのんびり開放感のある東中野に、約13年間お世話になりました。
商業施設が少なく住宅街が多いため、昼間は親子連れやお年寄りがお散歩する、そんなどこかホッとするような街で、居心地良くお仕事をしてきました。
2018年4月、ますますの事業の拡大と発展を目指して、心機一転!
当社は東中野を卒業し、高田馬場へ移転することを決意しました!
JR他3線が乗り入れる高田馬場駅は、言わずと知れた早稲田大学最寄駅の一つです。
商業施設やオフィスも多く、この街は昼夜を問わず、いつでもたくさんの人のエネルギーに満ちています。
更にインターナショナルな学校が密集していることもあり、行き交う人の姿や聞こえてくる言葉が多様であることも、高田馬場の魅力の一つです。
そんなエネルギッシュな街を横断するその名も早稲田通りを進み、明治通りとの交差点を過ぎたところに、新しいオフィスを構えました。
明治通りを過ぎてすぐ、1階にカフェが入っている7階建てビルの4階が当社の新しいオフィスです。
お隣はYMCAの専門学校・インド大使館邸と、高田馬場らしい文教的かつ国際的な場所に位置しています。
お近くにお越しの際は、ぜひ一度足を運んでいただけたら幸いです。
一同、皆さまのご来社を心よりお待ちしております!
新しいオフィスとパワフルな新天地からもいい力をもらい、ますます皆さまのお役に立てるよう、より一層精進してまいります。
今後とも、ラカンデザイン研究所をよろしくお願いいたします!
中国のお客様と一緒に翔裕園(特別養護老人ホーム)を見学しました
先日、中国・大連のお客様が来日して、一緒に竹ノ塚翔裕園の見学に行ってきました。
お客様は建築会社の方で、日本の福祉施設についての設計や施工技術を習得させてもらうため、見学会を行いました。私の出身も中国の大連で、3年前日本に来て建築を学び始め、今年の4月に入社しました。今回は通訳で同行した私もいろいろ勉強になりました。
竹ノ塚翔裕園は『和みの家』をコンセプトに和風旅館をイメージとした建物です。調度品も古民具風のものを用い落ち着いた空間を作っています。
施設はパブリックゾーンとプライバシーゾーンで構成されていて、ホールは横断歩道をイメージしたデザインとなっています。
2階~4階は居室で、ユニットケア型の介護となって、自宅にいるような感じに設計された各ユニットは暖かい雰囲気を演出しています。
入居者に自分の部屋を認識してもらうため、出入口や各階の壁の色、テクスチャーを変える工夫をしていました。
各ユニットに入ったら、入居者の方々は微笑みながらソファでテレビを見たり、話したりしていて、自分の家にいるかのように幸せが溢れていました。
同じユニットに暮らしている人たちは元々知らない人ですが、こちらの施設のおかげで、みんなが家族になって、一緒に楽しく老後生活を送っています。
設計が人に幸福をもたらせるということが実感できました。
中国のお客様も入居者の幸せな姿に感動していて、特に手すりの凹凸や仕上げや空間の使い方等の細部のデザインに注目していました。
お客様が今回の見学を通して学んだことをこれからの設計に生かして、より良いデザインをすることを決意していたようです。
通訳をしていたため、写真を撮ることがあまりできなく、少し残念でしたが、検討された細部の納まりや、高齢者に配慮されたデザインが心に残りました。
ねむの木子ども美術館「どんぐり」
ねむの木子ども美術館「どんぐり」
設計:藤森照信+内田祥士(習作舎)
肢体不自由児のための養護施設「ねむの木学園」の
生徒さんによる作品が展示されています。
レンタサイクルで山道を進み、ねむの木美術館に近くなるほど
茂みの中から「どんぐり」が姿を現します。
掛川駅からちょうど1時間で到着しました。
1時間に1本のペースでバスも通っているようです。
平日で来場者が自分のみだった為なのかとても静かでした。山奥にポツンと建っている建物が周辺の自然と相まって非常に神秘的な場所の印象が強いです。
遠くから建物を見ると外壁に植物の根が這ってあるように感じますが、
これは植物のイラストがちょうどよい間隔で裏の外壁まで描かれています。
ねむの木学園の生徒さんによって描かれたものらしいです。
館内一番奥の空間は床も壁も天井も真っ白の仕上になっています。
真っ白に加え、静かな空間なので足音を立てるのも
申し訳なくなるほどの緊張感がありました。
館内は写真撮影禁止ですので内部の様子をお伝えすることはできませんので
是非、行ってみてはいかがでしょうか。
ちなみにさらに山道を進むと坂茂氏設計の
ねむの木子ども美術館「緑の中」があります。
Ryu M.
現場進捗(横浜市 賃貸マンション)
今日は現在進行中の現場についてです。
横浜市の賃貸マンションでRC造6階建て、
総戸数は98戸で1階はテナントになっています。
現場は杭工事の真っ只中です。
敷地が広いので重機も豪快に移動しています。
今回は既製杭と言われるものを採用しています。
あらかじめ工場で製作した杭を現場で打ち込む工法です。
途中で継いで最終的には40m以上!
大迫力です。
建物の中でも杭は日の目を見ることがありません。
しかし地中で見えなくなってしまう部分だからこそ、
施工中の監理が重要であることをしみじみと感じました。
これから徐々に建物の形が出来上がっていく様子を
このブログでご紹介できればと思います。
ooshima
現場進捗(東京都練馬区 共同住宅)
秋も一段と深まり、朝夕は冷気が身にしみる季節となってまいりました。
ファミリータイプ27戸のRC造 5階建ての建物です。
現場は2階床の型枠工事中です。
7月の着工から杭打ち、基礎工事を経て、ようやく建物の外形が姿を表しました。
今回の外部仕上げのメインは打ち放し仕上げです。
打ち放し仕上げで重要になる部分の一つはパネル割です。
パネルの割り方次第で建物の表情は大きく変わってきます。
パネルのサイズは下記の2つを採用されることが殆どです。
600mm×1800mm×厚さ12mm
900mm×1800mm×厚さ12mm
パネルを縦に使うのか、横に使うのか、サッシの位置とパネルの関係性をどうするか、目地をどこに設定するのか など色々な検討が必要になります。
打ち放しというと、シンプルな完成形をイメージされることが多いと思いますが、シンプルを形にするには、実は様々な検討を要します。
そのため、工事を進めていくうえで、施工会社とのコミュニケーション(信頼関係)も重要な要素となります。
今回の計画も施工会社との様々な打合せを経てパネル割を決定しました。
型枠が外れた時にどのような表情を見せてくれるか楽しみです。
Shimada